妻が一目で気に入ったマンションを見つけました。
私と妻はその足で近くの不動産屋さんに飛び込み、
そのマンションに売り物がないかどうか聞きました。
不動産会社の人が売り物件一覧表を持ってきて、
ぺらぺらめくり、いくつか売り物件があることがわかりました。
その中から自分に買えそうな部屋をしぼり、
あわせて自分のふところ具合を話して、
銀行からお金が借りられないかたずねました。
不動産屋さんは提携している銀行があるので、
掛け合ってみましょうとの返事で、
すぐその後、ローンが借り出せそうですとの連絡が入りました。
と思ったとたんにこんなに高額の買い物をして
大丈夫だろうか不安の気持ちが高まってきました。
そこで、少々厚かましいとは思いましたが
私は邱永漢事務所を訪れ、
不動産を担当されている方はおられませんかとたずねました。
和服姿の御年配の御婦人が応じてくださり、
「この事務所の近くにある○○のマンションを買いたいと
思っているのですが、どんなものでしょうか」
と伺いました。
すると、その御婦人は、
「あそこの○○マンションなら良いでしょう」
と答えてくれました。
これで私は踏ん切りがつき、マンションを買うことを決めました。
買った直後に、そのマンションで仕事をしていた人が
退出しましたので、慌てました。
けれども、すぐに借りたいという人が現れました。
このマンションを手に入れてからかなりの年数になります。
最初は店舗設計の設計士に使われました。
その次はスタイリストの方によち、衣装服の置き場として使われました。
さらにその後は、グラフィック・デザイナーのオフィスになりました。
このように色々な方が、テナントとして、この部屋を使ってくれています。
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